俵万智『プーさんの鼻』

 歌人・俵万智さんの歌集です。シングルマザーとして子どもを育て、子どもが2歳くらいになるまでの時期に書かれたようで子どもの歌が多く歌われています。

 

 あとがきで、俵さんは子育てについて次のように言っています。

 

「子どもは、大げさでなく、一日一日変化してゆく。その存在に振り回される日々のなかで、なんとか自分の心を、言葉で追いかけてきた。たぶん短歌でなかったら、できなかった、と思う。子育ては、驚きと慣れの連続だ。一度慣れてしまったら、はじめの驚きの感覚は失われてしまう。それはそうでなかったら、前へは進めないわけで、子どもが歩くことに毎朝感動している親はいないだろう。だからこそ初めの一歩の驚きを、逃さずに三十一文字に刻みたい、と思った。」

 

 

最後にお気に入りにの子育て3首をセレクトしてみました。

 

●バンザイの姿勢で眠りいる吾子(わこ)よ そうだバンザイ生まれてバンザイ●

 

●いつまでも眠れぬ吾子よ花の咲く瞬間を待つほどの忍耐●

 

●吊り橋を行きつ戻りつするように怖れつつ子は眠りに落ちる●

 

 

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