再度!山極寿一『「サル化」する人間社会』


以前、ブログで注目した書籍『「サル化」する人間社会』が、大学の推薦入試の小論文でも出題されたとの報告をもらいました。本当に今年の入試のどこかで出そうな気がしてきました(なお、千葉県では26年後期入試の説明文で山極先生の『15歳の寺子屋 ゴリラは語る』が出題されています)。なので、私立入試直前に少し読んでおきましょうか。

 

Vもぎで引用された部分は「身体とコミュニケーション」についてのところでしたね。

 

フェイスブックなどSNSによってコミュニケーションの範囲が格段に広がり、もはや身体で把握できるレベルを超えてしまっていると筆者は指摘しています。

 

★IT化によって、対面的なコミュニケーションが失われかけていること は、人間社会に大きな影響を与えます。前述したように、人間の脳が許容できる集団の最大の人数は百五十人程度であり、これをマジックナンバーと言います。この程度の人数なら、人間はそれぞれの顔と性格を覚えてい られます。 

しかしフェイスブックでは友達の数が四百、五百人という人も珍しくはありません。若い世代ほど友達の数は増え、千人、二千人とつながっている人もいます。果たして、それを人間は受け止めることができるのだろうか? 私には疑問です。

コミュニケーションは身体レベルから離れることができないということで筆者は次のように続けます。

★人間は、生身の体をなかなか乗り越えられないものです。生物学的な体と生物学的な心が常に基盤にあり、昔からその部分はあまり変化していま せん。現在はインターネットが隆盛し、生身ではないコミュニケーション に傾いていますが、どこかで自然回帰的な動きが生じてくるだろうと思います。 

私たちは言葉を使い、あるいはインターネット技術を使い、情報交換をしているような気になっていますが、もっとも重要な情報は対面した相手の目を通して得られるはずです。人間は相手の言っていることだけではなく、その態度、顔、表情や目の動きから相手の性格をつかみ、評価をします。

言葉だけではわかり合えないのが人間です。どんなに技術が進歩しようと、私たちは太古より身につけたフェイス·トゥ·フェイスのコミュ ニケーションを捨て去ることはないでしょう。★