先日、以前勤めていた教室の生徒さん一家(以下、T一家)がかまなびに顔を出してくれました。
今年の春頃に合格報告のお手紙を頂きました。兄弟みな自信をつけて、それぞれの進路に進めたとのことでした。
T一家は3兄弟なのですが、三者三様でした。
一人は大学受験でブレイクスルーを達成し、一人は早めに進路が決まったのでその方向に強い高校へ進学、一人は中学受験で難関校目指して頑張っています。
3人同じ環境で育っても、みな頑張りどころは様々なんですよね。
全員を中学受験でトップ校に入れようとしてしまっていたら、うまくいかないことになっていたと思います。
親御さんが子どもの様子、能力をみて判断してあげないと、開く花も開かなくなってしまうのではないでしょうか。
「上の兄さんがこれでうまくいったから」
「自分が子どものときこれでうまくいったから」
「周りが中学受験するから」
などの理由で、型にはめた進路選択をするとうまくいかなくなることが結構あります。
T一家の長男は、高校受験では行きたい私立高校がみつかったので、単願推薦で入学しました。無理にトップ高校を受験させるようなことはしませんでした。
合格後は勉強を少しずつ継続させて高校での成績をトップクラスに持っていくことができました。一般的に高校入試を私立単願で入学すると勉強しなくなってしまうのですが、T家の長男君は大丈夫でした。そしてその勢いで大学受験でも行きたい大学に入れたようです。
結果的にみると、中学受験・高校受験での消耗が少なかった分だけ、高校での勉強に力が入れられたのかもしれません。
私立高校単願は悪いことだけではないんですね。
「勉強から逃げたいから」という理由で私立単願にするとその後勉強しなくなりますけど、そうでなければ問題ないのかもしれません。
親御さんや塾の先生が、本人の性格などから判断してあげれば、大学受験でブレイクきるのかもと考えさせられました。
彼に聞いたところ、千葉の難関私立中学に進学した小学校の同級生達と大学で再会したと言っていました。小学校からガリガリやっていた子達と結果的に同じ大学だったみたいです。
ところで、難関中学・難関高校に入れたとしても落ちこぼれてしまう子がいます。そういう子達は、その後どこの進路に進んでも、劣等感を持ちながら進んでいくのでしょう。落ちこぼれなかったとしても、難関校では、○○大学以上に入らないと負け組みたいな雰囲気もあるのでしょうから大変です。
そうすると、そういういわゆる有名な中学や高校に入ったとしても、その後の進路次第では、劣等感を持ち続けながら生きていくということになることも結構あるのではないでしょうか。何が何でも難関校へという考え方は、少し見直した方がいいのかもしれません。偏差値で学校をランク付けした弊害なので塾業界の責任は重いのですけど…。
どこの大学に行こうが、大切なのは自尊心をもって自分の道を進んでいけるかです。
進路が決まったら、そこで自尊心を持って前向きにやっていく。「オレはこの学校に入りたいわけではなかった」などと後ろ向きに過ごすことになってしまうのが一番良くないでしょう。
受験勉強はこじらせると大変ですが、うまくはまればT一家の長男君のように自信をつけて次のステージに進むこともできます。受験とどううまく付き合うか、T一家とお話していろいろと考えさせられました。
塾業界パラドクス注目記事
コメントをお書きください