受験生の皆様、前期入試お疲れ様でした。
私立の併願校と違って、緊張が半端じゃなかったと思いますが、出来はどうでしょうか。
「できなかった」
という子が多かったのではないでしょうか。
自分でも解いてみたので解答を選んだポイントと感想を。
まずは国語、
2漢字の読みでは、「支度」、「佳境」、「危ぶまれる」、「巡って」
3漢字の書きでは、「飛びカう」、「テれてしまった」、「ロウホウが届く」、「コウホにあがった」、「シキンセキとなる」が出ました。
②・③の漢字では 「飛び交う」を書けるかどうかが上位と下位の分岐点ではないかと。他は「朗報」を「郎」とか書いてしまうパターンがありそうです。
ちょっと漢字で気が付いたことを少々。今回出題された漢字のうち3つ「交う」「支度」「危ぶまれる」が、教育出版の中1教科書の巻末P279にある「中学校で学習する小学校配当漢字音訓」なんですね。
以前、千葉県入試の漢字について書いたブログ記事のときもそうだったんですけど、小学校の漢字でちょっと書きづらいものが好まれて出題されている気がします。しかもそれの正答率が若干低くなっています。今回出された「照れる」「朗」の字も小4~小6の漢字です。
少なくとも、中学の教科書に載っている「中学校で学習する小学校配当漢字音訓」は後期入試までにチェックしておきたいですね。
4では(1)書き順の問題が出ました。
全国的には出題されていましたけど、千葉では初の出題になります。普段から書けていれば問題ないとは思いますけど、行書をみ間違えて選ばないようにしたいところ。
(2)漢文の書き下し文は基本です。返り点のルールを覚えていれば、選択肢が1つしかありません。
(3)は会話力の問題です。どこで切れば意味がまとまるか、間違えた子は再度復習を。普段の会話やLINEのやりとりでも気をつけたいところ
(4)「お待ちしています」は、普段チラシやCM等で使われている表現なので思いつきやすいほうだと感じたのですが、いかがでしょう。
2~4解き易さ ★★★ 行書に惑わされなければ易しい
5説明文の読解は、山田英二「新しいグローバルビジネスの教科書」から出題
読んでいて読みやすい説明文だったと思う。中学生が読むには面白い内容だった。いろいろ思うところがでてくる子もいたのでは?
(1)「こうした」といっているのでその前を読めば答えが書いてある。
(2)「形容動詞を含む」という条件、さらにその答えが終盤に書いてあることで読み取りづらかったかもしれない。文章を読んでいてここには「~な思い」とつなげたい、と思えるかどうか。~なで終わる7字を探す。
(3)「状況によっては、使い分けられなければならないのではないか」で選択できる。他の選択肢は、過去にこだわるとか視野を広げるとか、個性を捨てるとか、本文で触れられていない。
(4)「多様性がきれいごとでしか認識されていない」と前段落の始めで言われているから、レベルが低いといいたいと解釈。イとエのようなポジティブな解釈はできない。旧来の考え方に頼っているとは書いてない。
(5)「こうしたレベル」の認識で、グローバル化をとらえ、楽しくとりにいく、ということは辛い思いをしないということ。つらいというはこの問題文では自分の思い通りにいかないことだから、「“自分の”想定や、常識の範囲内」という内容だとすぐに思いついて欲しい。
(6)全体のまとめにみえるけど、最後に筆者のいいたいことが書かれているので、それを選択肢の中で探す。最後の段落では、「むしろ」からあとに書いてあるのが筆者の本音。
5 解き易さ ★★☆ (2)以外は選択肢をきちんと読めるかどうか。時間をかけたくない問題
6物語文の読解は森谷明子「春や春」から出題でした。
いきなり俳句で面くらう…かもしれない。登場人物が多く、発言と人間関係を考えながら読む。
(1)季語…言わずと知れた基礎問題。とはいえ、千葉の入試では初になるのかもしれません。草笛がわからなかったらもうどうしようもないのですが。
(2)すぐ前の段落に表情の描写があるのでそこを抜き出せばよい。しかも「一句」「一変」ということばを使ってしまえば、残りの文字数も限られてくる。
(3)出てくる俳句は誰が詠んだものか読み取れていれば、一個しか選択肢がない。井野は冒頭の二番目の俳句。瑞穂が続けたの直後。空耳の意味がわからなかったら解けない。
(4)文全体を通して、主人公(この場面では)の東子の気持ちに変化が生じている。公判の「肩の力が抜けるのを感じた」は「小さく笑ってみる」の直前にあるので、緊張がほぐれたと解釈できる。OOが和らぐ、という表現も完全にヒント。Ⅱは、「ほほえましく感じる」のは大体年下に抱く感情なので、1年生がなにかやっているはず。
(5)前の段落で「草笛に託したかった」という発言があり、「東子に向けられている」のだから、二重の意味で説明されているととれる。
(6)ア「満足」はしていない。イ「不安定」とはいいきれないエ「存在感を示せる」という自信にはなっていない。
6 解き易さ ★☆☆ 心情の変化を読みとるヒントは探しづらい。メジャーな部活でないことや、意味のわからない単語が多いと想像力が停止してしまう。物語を読みなれていない人はつらかったかも。時間をかけたい問題
7古文 「仮名世説」から出題
どこかで読んだことのある文章だった。知っている人はラッキーでした。全国か模擬試験か…
(1)かたはら→傍ら→かたわら 意味も取れるようにしたい。
(2)2行目、其はじめ…とあるので、②からスタート、そのあと場面は時間通りに進んでいくので2→3→4→1。1行目は「猿を描いて有名になる」のだから、下手なうちに有名にはならない。
(3)「鑑を乞う」の隣に「批評をお願いして」と注訳があるのだから、ほめたわけではなさそう。
(4)アは意味がわからない。イは意図をつかむのと描けるようになるのは違う。エは言いすぎ。生態を理解したかは知らないけど、今はその話はしていない。
(5)実は(3)のヒントにもなっている。(3)でほめていたらこんなまとめにはならない。
7 解き易さ★★☆ 文は難しくないが、選択肢をしっかり読めているか。迷うとしたら(4)くらい
8作文
ことばの意味・解釈が年代ごとに違う点について、読み取れることと考えたことを書く。資料1は意味がふえている事、資料2は年代によって使い方が違うこと。それについてあなたの考えを書く。体験や経験を入れる必要がないのですぐに終わる・・・はず。
8 解き易さ★★★ 条件の指定が少ないので、すばやく資料を読み取れば他の問題に時間をかけられる
総合評価 解き易さ★★☆
説明文・物語文の読解問題がきつくなると、漢字・作文・古典の計42点でどれだけ失点を少なくするかにかかってくるので、これらのジャンルで「速く正確に高得点」を目指したい。そして残り時間を読解問題にあてていくイメージ。後期入試に向けてもその練習は怠らずいきましょう。
また、読解問題について普段から“何となく”解いている子は、どうしてその選択肢ではダメなのか、という間違いの検討もやってみるといいでしょう。
来年度に向けては、新出傾向が増えてきているので全国高校入試過去問はやはりマストアイテムになりそうです(個別指導の塾だとやらずに受験になりがち)。他県の傾向も押さえながらの学習が国語学習には必要です。
☆2016年の千葉県の解答は東京新聞のHPで見ることができます。
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