「生徒を楽しませないと駄目だと思うんです」
これは個別指導塾時代に、ある講師が僕に言ってきた言葉です。
どういうことかというと、他の先生の授業は生徒がつまらなさそうにしているというんです。それはよくないと。自分が生徒なら退屈だというのです。
あぁなるほどね。授業を楽しく教える工夫が必要だということかと思ったのですが、それがどうやら違うらしい。よく話を聞いてみると、日常の「笑える話」を盛り込むべきだというんです。
その講師は、その日の授業に入る前に、ネタを仕込むらしいんです。その日あった面白いことをどうやって面白く生徒に話すかに頭を使っているようなんです。
それを聞いて僕は「お前は芸人か!」と思いましたが、どうも真顔で言っているので、本人は本気でそれがいいと思っているみたいなんですね。
もちろん、そうして練りに練った話ですから、授業時間80分のうちの20分~30分くらいそのネタの披露に時間がかかるんですよ。
生徒は観客です。さまぁーずみたいなトークをたしかに楽しく聞いている。
ではその講師が担当していた生徒達の成績はどうなったか。
志望校は下方修正、成績不振・・・。
その講師が担当していた生徒は高校受験終了でたくさん塾を辞めていきました。
生徒達は楽しかったんですけど、勉強やるような状況にはなりませんでしたからね。
勉強しなくちゃいけない辛い期間には、そういうお笑いは楽しめるでしょう。しかし、通常期になってしまえば、他に面白いことはたくさんあるわけで、素人のお笑いライブをわざわざ見に行くことはしませんよね。
彼は自分が特殊な状況で重宝されているという落とし穴に気が付かなかったのでした。
僕が教室長になって、その講師に生徒をお願いすることはなかったので、最終的には担当生徒がほとんどいなくなりました。
ほんと嘘のような話なんですけど、あるんですよ個別指導では。お笑いにいけよって子も講師になってしまう。そういう授業でも高いお金を払わされていることがありますから個別指導ってリスクが高いなとそのときも思いましたね。
まだまだ続くよ。個別指導塾時代の思ひ出。
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