国語再考(4)


前回のまた続きを追加して書いてみたいと思います。

 

今回は、工藤純一先生の「国語のできる子どもを育てる」を読みおりまして、気になった箇所を紹介していきます。

 

衝撃の一文がありました。

読解問題をさせること自体が読解力の向上にとってあまり意味を持たない

 

国語の授業を買って読解問題をやっていても意味がないケースがあげられています。

1 本文そのものが難しく、読むのに精一杯である場合(具体的には正答率50%以下)

こういう場合、読むこと自体の練習をしないといけないようです。

 

読解問題を解くには、ある程度の余裕を持って読めないと無理とのことです。

 

これは確かにそうですね。ほとんど間違っている状態で、その解説をしたところで焼け石に水でしょう。

 

2 本文に非常に興味を感じておもしろく読んでいる場合

せっかく楽しんでいるのに読解するために読むことを停止しなくてはいけない場合です。これは読解力がある場合ですね。

 

こういう場合には、関連書物や、その文章の続きを読ませた方が効果があるというわけです。

 

受験勉強だということで浅く読む必要はないですからね。

 

むしろ受験勉強で読む時間を奪ってしまうのはあまりにも可哀想なケースです。

 

3 本文が非常につまらなく感じた場合

こういう場合にごり押しで読解やらせると国語や本自体が嫌いになりますもんね。

 

こういうときは「興味を持てない理由」を考えればいいようです。1のように分からないからつまらない場合もあります。事前に関連する知識や情報を事前に与えたり、取り上げる文章自体を変える必要があるとのことです。


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これらにあてはまる子ども達がかなりいると思います。

 

「国語の読解問題ができない」「読解力がない」ということで塾の授業を受けるのでしょうけど、ほとんど効果が上がらないのはそういうことだったんですね。

 

さらに、工藤先生のいう衝撃の一文があります。

学校や塾でどんなにいい成績をあげても、それがその後の読書と作文の実生活、そして私たちの文化の向上に結びつかない

さらには、このことが

受験生の場合、学校に入るための成績向上という目的と手段が逆転…そこには…受験向きの知恵が生まれ…高い偏差値の学生ほどモラル崩壊を起こしやすい

鋭い指摘だと思います。

 

偏差値主義や学歴信仰がまだ根強く残っていますから、受かったら勝ちみたいなところがあります。

 

でも本当は、受験が終わってからがスタートなんですよね。受験に関係なく本を読み、答えのない問題と向き合っていくのですから。

 

そうなってしまったのは僕ら塾屋の責任でもあるので、少しでもそういう悪い流れを変えたいという気持ちが日々強くなっています。工藤先生は次のようにも書いています。

私たちが子ども自身のことを優先的に考えるなら、するべきことは能力を測るなどということではなく、とにかくはげまし、その能力を発揮できる適切な場を与えてやることです。国語であれば、その場とはおもしろい本であり、文章を書く機会です。そして評価とはまず、ことばで評価する、つまりはげますことです。

これを読んで、かまなびを拡げていくときには、国語の能力をのばす場を提供できるようにしていこうと思うようになりました。塾はたくさんありますけど、本当に必要な塾ってあまりないですからね。

 

 

さらに工藤先生、衝撃の一文

九十何パーセントが進学する高校入試なんて実質的に無視して構わない…いまの日本の文部省支配下で、いい高校なんてありえない…いい教師か、いい生徒がいるだけ。

高校入試を無視してやっていき、高校でも読書ばかりしたとしましょう。

 

そうすると大学の一般受験では厳しくなってくるかもしれません。

 

しかしそれでも構わないと工藤先生は次のようにアドバイスします。

大学は高校での学習を生かし、推薦と小論文で入学して下さい。これだけ本を読み、それについての文章を書いていれば、公立の中学高校に通い、受験勉強はいっさいしなくてもゆうゆう合格できるはずです。有名大学でなくても、入りやすく、出にくいという大学、あるいは自分の師事したい教授の大学を選び、大学のときにこそ、やりたい学問を死にものぐるいで勉強してください。…日本の将来はそのような人材をこそ求めている。

 

実際に受験で子ども達は消耗して、大学時代には勉強をあまりしないケースが多いのではないでしょうか。

 

大学に入ったら就職活動だけみたいになっているという話も聞きます。

 

そうではなくて、入ってから猛勉強する。これはほんとその通りだと思います。こういうことを言ってくれる大人が少なすぎますよ。すごくまともな意見だと思います。

 

僕も以前からぼんやりと「受験制度は馬鹿らしい」と思っている人なので(塾屋のくせにすみません)、今後のかまなびの方向性についても考えるようになった今日この頃です。


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