2024千葉県公立高校入試がマークシートで行われることが発表されました。マーク式と記述が併用されデジタル採点が行われるようです。
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https://www.pref.chiba.lg.jp/kyouiku/shidou/press/2023/koukou/0828marktesuto.html
https://www.pref.chiba.lg.jp/kyouiku/shidou/nyuushi/koukou/r6/r60719kaizensaku.html#a2
これにより出題形式にも変化が起きそうです。
結論から言いますと、マークシート化によって大きな影響を受けるのは国語だと考えています。
具体的には記述問題や抜出問題が減ってこれまでより簡単になるとみています。
理由はいくつかあります。
①国語のマークシート見本を現時点で全く出していないこと
>>もともと長文記述が多く採点が複雑な国語だったので、おそらくまとまらずにいるのだろうと思います。英数のマークカードについての発表は早めにされているのと対照的です。採点処理の簡易化という変更趣旨から考えるとこれまでと同様の問題は出題しづらくなるはずです
②千葉県でマークシートの見本として出されたのが東京都立入試のマークカードと同じものだったこと
>>東京は千葉と同様に漢字の書き取りと200字作文をマークシートで行っていること。東京都立入試の国語の平均点はかなり高いの現状です(60点~80点)。なお英語ではライティング、数学では作図、証明問題もマーク式で実施されています。
東京都立入試のマークカードはこちらで閲覧できます
③他のマークシート実施している県でも、国語の記述問題はほとんどやらない方向にあること
>>マークシート入試の神奈川県でも記述は1問のみ(条件がかなり限られらた採点しやすい方式)です。愛知県は国語の要約問題がマークシート化に伴ってなくなりました。マークシートで記述を取り入れすぎるのは採点処理の簡易化という趣旨から本末転倒になりやすいです。
④マークシートで難易度を上げる方法もありますが(文章量を増やす、選択肢を長くするなど)、マークシート化だけでも受験生を戸惑わせている状態で、大幅な出題形式変更はしづらいこと
国語が簡単になるといっても、国語の選択問題が苦手な人もいると思います。そういう人は早めに克服しましょう。小学生向けですが、中学生にも使える1冊です。
国語の選択問題の対策本
国語以外の4教科ですが、マークシート化しても大きな出題変更せずに行えるのではないかと思います。英数はマークシートについて事前に発表があったように、マークと記述の併用でこれまでと同じような出題でやれるのでしょう。
理社についても、問題数の減少、記述問題数は減るかもしれませんが、後述のように同じ難易度はキープできると思います。完答問題や全て選ぶ問題などがマークシートで出題できるからです。他県でもマークシート化で理社が簡単にはなっていません。むしろ5教科の中で一番平均が低くなることもありえます。
千葉県はこれまで理科の計算問題も4択の選択問題で出題していて、それなりの難しさになっています。
千葉県理科 計算結果選択問題
2023年
大問1(4) 平均の速さ 正答率61.2%
大問7(4)星の動きと南中する時刻 正答率35%
2022年
大問5(2)抵抗のつなぎ方による電圧と電流の関係 正答率34.2%
大問6(4)金星や火星が見える時間帯と方位 正答率22.1%
2021年
大問4(2)葉の裏側から蒸散した水蒸気量の合計 正答率68.8%
2020年前期
大問4(3)星が南中する時刻の計算 正答率33.3%
他のマークシートを実施している県でも、計算が必要な問題は、選択肢の数を増やしたり、完答にしたり工夫しています。理社はマークシートでも同じような難易度にすることは国語ほど難しくなさそうです。
千葉県理科 選択完答問題
2023年
大問3(1)シソチョウの特徴 正答率64.1%
2022年
大問2(4)脊椎動物のなかま分け 正答率75.1%
大問6(2)水星と土星 正答率67.9%
2020年前期
大問7(3)消費電力が最大と最小の電熱線 正答率6.6%
大問8(4)イモリとトカゲの特徴 正答率62.6%
大問9(3)集まった気体を調べる操作と同じ気体が発生する化学変化 正答率47.3%
千葉県理科 全て選択問題
2022年
大問3(1)分子からできている物質 正答率18.5%
大問8(3)反射とその例 正答率37.7%
2020年前期
大問8(2)恒温動物である動物 正答率69.7%
1分野で完答問題や、全て選ぶ問題が出されると正答率はかなり低くなっています。
なお千葉県の発表でも全て選ぶ問題を出すことは、マークシートの記入例でも紹介されていました。
ですので、記述から選択問題に変更して簡単になる部分は、このような完答・全て選択問題の数を増やすことで難易度の調整は可能になるのではないでしょうか。しかも採点と集計は自動ですから、採点が複雑になっても何ら問題が起きません。
理科は完答問題や全て選択する問題に備えましょう。あやふやな知識のところが得点につながらない可能性が出てきます。普段の演習や模擬試験でのラッキー正解は意味をなしません。解説を読み込み、あやふやなところは必ず教科書に戻ることをしましょう。理科は教科書以上の参考書はありません。入試で出される実験や知識が全てカラーで載っていますよ。
理科の勉強→全国過去問を解き、解き直しに理科の教科書を参照して知識を安定させる
社会の正答率をみると20字~40字くらいの説明記述の正答率が低くなる傾向があります。2023年度は3問出題されました。この問題数がマークシート化で一部減らされる可能性があります。マークシートの紙面上の問題ですね。表面だけでやるとなると問題数は限られるでしょう。東京都の社会はマークシートを片面だけ使っていて、記述問題は2023年に2問だけ出題されています。単純な用語記述もなくなりそうです。
ただ、完答問題や整序問題はマークシートで引き続き出題できますから、そのあたりの問題数を増やしていけば同じくらいの難易度にすることはできそうです。これらの問題は正答率はあまり高くならないので、難易度調整するにはやりやすい問題です。
千葉県社会 整序問題正答率
2023年
大問1(1)正答率38.5%
大問4(3)正答率25.7%
大問5(2)正答率24.1%
2022年
大問1(3)正答率47.7%
大問4(1)正答率26.7%
大問5(4)正答率36.3%
2021年
大問1(3)正答率21.3%
大問5(5)正答率5.9%
千葉県社会 選択完答問題正答率
2023年
大問1(4)正答率26.4%
大問3(1)正答率35.1%
大問6(3)正答率52.0%
大問7(1)正答率59.3%
大問8(1)正答率53.8%
2022年
大問1(4)正答率28.4%
大問2(3)正答率58.7%
大問6(1)正答率80.1%
2021年
大問4(4)正答率66.4%
ちなみに似たようなマークシートになりそうな東京都立入試では2023年に完答問題が6問(30%の出題)、整序問題が2問(10%の出題)出題されています。千葉県は社会の問題数が30問くらいで、20題の東京よりも問題数が多いのですが、マークシート紙面の関係で問題数が減らされる可能性はありそうです。ただ減らされても完答問題や整序問題の出題比率は高いまま維持されるのではとみています。
マークシート化するにあたっての社会の学習ポイントは、実戦問題を多く解くことです。マークシート化すると複雑な問題が出されやすくなります。複数資料を比較しながら解いたり、問題文の丁寧な読み込みがいつも以上に要求されます。こういう練習は入試問題をたくさん解いて慣れていく必要があります。通常の問題集ではなくて、全国入試問題をやってみましょう。また歴史では年号もできるだけ覚えてしまいましょう。
マークシート化でオススメできる社会問題集
テーマごとの年表などわかりやすく整理されている1冊
年号の覚え方が載っているし、歴史の流れが詳しい1冊
ともあれ理社は、記述が減ってもマークシート化で思ってるほど簡単にはならないでしょう。マークシート化された他の県でも理社が簡単になっている感じは国語ほど受けません。マークシートの方が一問一答的な単純な出題がなくなる傾向があるのでむしろ難しい感じさえします。
千葉県の場合、近年国語の平均点がかなり低かった(2年続けて約47点)ので、マークシート化で国語の平均点が上がるのは確実ではないでしょうか。といっても、ここ最近は平均点が低くなりすぎて差がつかない科目になっていましたが、これと逆に得点が取りやすくなって差がつかなくなって、結果的にはあまり合否を左右しないのではとみています。
勝負はこれまで同様、英理社になると思います。この3科目でどれだけ稼げるかが合否を分けます。とくに英語は逆転科目になりえます。この辺りは、以前の記事で書いているので参照してみて下さい。
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